ダホンでサイクリング中のこと・・・・(8Sスプロケット仕様の)トップに入れた瞬間ガチャンという異音とともにペダルに伝わる違和感・・・チェーン落ち!?
パッとフロントチェーンリングに目をやるのですが一見するとチェーンはそこにかかっています・・・ペダルを回すが回転が上がらない・・・とここでようやくダホンから降りてまじまじと観察してみると
チェーンガードとチェーンリングの間にチェーンが落ちて挟まっています。
今回のチェーン落ち現象を検証する
まず私のDAHONには最初からイン側にチェーンキャッチャー(上方のずれも押さえている)、外側にはチェーンガードがあるのでこのチェーンガードとチェーンリングの間に落ちるというのが腑に落ちなかったのですが、チェーンガードを観察して分かりました。
赤丸の所についた傷が鍵でした。
今回のチェーン落ちのプロセスはこの様に推測されます。(実はミニベロの持病なんて言われているらしい)
- トップに入れる。(ミニベロ特有のチェーンラインがかなり斜めになる)
- 切り替わる瞬間の慣性でチェーンが左右に動く(思っているより激しく動いていると思う)
- チェーンがチェーンガードに乗り上げる
- インナー側のチェーンキャッチャーが上方を押さえているので完全にクランク側には落ちずにチェーンリングとガードの間に落ちる(挟まる)
私の場合はトップに入れた直後に起きたのですが、地面の状態やホッピングでチェーンが暴れた時にクランクを回すことで起きる可能性も十分にあります。
要するに純正のチェーンキャッチャーとガードではこのチェーン落ちを防ぐには十分でないということです。
私のダホンに必要なチェーンキャッチャーの仕様
必要な仕様はこんな感じ
- 当然だがチェーンリングに差し掛かる前でチェーン(ライン)を抑えられるもの
- シビアな調整が楽に行えること
- 外れてしまっては危険極まりないのでしっかり締結できること
- 多少重くなるのは仕方ないとして純正のチェーンキャッチャーは撤去できるよう機能を兼ねる
- 3DプリンターABSフィラメントで作る以上常に擦られていてはあっという間に壊れてしまうでしょう。普段は適正なクリアランスがあってあくまでも必要な時にのみ作用(矯正)するもの。
フロントディレイラーの様な形状ですが、これらはチェーンリングの真上に設置するタイプなので仕様は満たしてくれません。
※フロントディレイラーと書きましたが、じつは今回のチェーン落ちはフロントディレイラーのついたロードバイク(ミニベロ)では起こらずフロントシングル仕様の自転車でのみ発生するのではないかと思っています。そこでシングル仕様なのにフロントディレイラーを付けることで解決している人もいたりしますがなんだかスマートではありません。
そんな中見つけたのがこのTern製のチェーンガイド
チェーンリングの手前側で矯正、普段は当たらないようにクリアランス設定していること含め仕様の全てを満たしています。
ただね・・・これ高けぇ。(いつものやつ)
とういうかやっぱりternのミニベロ用に設計したものですからね。ダホン用に検討し直して完全オリジナルパーツへと昇華させちゃいましょう!
Fusion360と3Dプリンターを使ってチェーンキャッチャーを自作しよう
いつも完成品ばかりで設計している様子をあまり見せたことがないので今回はちょっとだけお見せしましょう。(開発経験者なら分かると思うけど少し恥ずかしいよね)
Fusion 360で3Dモデルを作っているところです。
チェーンがトップに掛かっている写真とローに掛かっている写真が重ねてあり、それぞれの位置、角度、サイズを完璧に合わせることで試作なしの一撃設計ができます。
もちろん正面からも上記の2枚の写真を重ねて検討します。(この写真で一撃ではなかったことが分かる人には分かるでしょう。初号機じゃだめで写真撮って修正したのが本当のところ。)
写真を撮る際に三脚など活用すると位置合わせが簡単になります。(私はフリーハンドで撮って位置合わせを頑張りました。)
そうして完成した3Dモデルがこれ。
なんだか似ちゃってますね・・・・いいんです。シートチューブに固定してスライド調整機能を持たせ必要な位置に置いてチェーンラインをガイドにトレースしてごらんなさいよ・・・こうなるから。
Ternのやつ(もう書いちゃってる)の実物見たことないので固定方法やスライドの機構、樹脂の厚みなどはCraftsmanのオリジナルになります。
取り付ける工程に移ると分かると思いますが一番重要なのは私のダホン用に設計してある点です。(固定、調整が楽)
3Dプリンターから収穫したパーツ。ABS製です。
ラフトやブリムを取り除き、機械的な性能のいる所には紙やすりを掛けたりするとこんな感じに。
3Dプリントしたチェーンウォッチャーをダホンに取り付けて調整するまで
組み立てのポイント等書いていきます。
パーツはリング(シートチューブに取り付ける)、スライドベース(リングと合わせて締結する)、本体(body)からなります。
まず写真中央のスライドベースにM4ナット2個を形状に合わせて挿入します。これだけだと落ちてしまうので・・・
スライドベースに本体(body)をM4x10mm六角穴付きボルト2個にワッシャーを入れて仮組しておきます。(スライド出来る位で)
そしたらリングとスライドベースのシートチューブに当たる部分にアセテートテープを貼ります。(さっき入れたM4ナットは回り止めされているのでもう隠れてしまっていい。)
これはチューブの傷防止とサイズ調整を兼ねています。(ダホンのシートチューブ実測41.6mmにアセテートテープで十分な締結力が得られる設計ですがゴムシート等を挟めばもっと小さなシートチューブにも固定できます。)
ちなみ私はこのアセテートテープが大好きで、ドロップハンドルのケーブル固定からバーテープのフィニッシュテープ、車の内装(や自転車)に部品を取り付ける際の傷防止、電気配線の固定や絶縁等あらゆることに利用しています。(丈夫で経年劣化しずらく糊残りが少ない)
リングをシートチューブにM4x45mm六角穴付きボルト1個にワッシャーをいれて固定します。余計なことでしょうがここで高さを調整します。スライドベースは横方向の調整ね。
トップ側。
3Dで上下高さが追従する仕様です。ただの四角じゃ落ちちゃうんだよね。
調整のポイント・・・・左右は同じ位クリアランス(2~3mm)を取れば良いが最大スプロケット側(ロー側)の上方の隙間は少し広めに取った方が良いです。(負荷をかけると自然な状態よりチェーンラインが上がるため)
ロー側。
調整は基本的にはロー側とトップ側のみ見れば良いです。
専用設計の良さは基本の姿(今回ならスライドベースとリングの端部が揃う等)が基準値なので調整がほぼ要らないってことです。
純正のチェーンキャッチャーを外し、40㎞をいろいろな条件で走り無事全ての仕様を満たすことを確認しました。
【追記】2025年1月現在それから2,000km・・・ヒルクライム、ダウンヒル、街乗りと気にせず乗っていますがラフに使ってもチェーン落ちはゼロです。
おまけのコーナー
組み立て方を書いちゃっている時点で分かると思いますがそうです・・・・おまけのコーナーがあります。
今回の企画で作ったチェーンウォッチャーのstlデータをnoteに放流しちゃいます。ただし商用利用はしない方が良いと思います。確認した所では取っていないようでしたがTernさんのパテントに抵触しちゃったりしたら大変ですのでね。一世代のみの個人利用限定でお願いします。