レザークラフトを趣味にして随分経ちます。これまで革と革を繋ぐ必要がある場合にはベースボールステッチやクロスステッチを使ってきましたが、今回チャレンジするのはダブルステッチです。
そう、高級スポーツカーのレザー張りのダッシュボードで一際目立つアレです。
ダブルステッチで革を繋ぐ方法
縫い方を調べてみようと色々なワードを入れてみるのですがこれが結構苦労しました。
例えば”ダブルステッチ レザークラフト”と入れてみてください。全く思っているのと違うものがヒットしてしまうはずです。レザークラフト界ではダブルステッチとはそれの事なんだと思います。
次に”ダッシュボード ダブルステッチ”で検索してみると張替え業者さんのブログがヒットしてくるのですがやはりそこは商売にしている人達です・・・素晴らしい完成写真は載せても肝となる製作過程は見せてくれません。
最終的にたどり着いたのがこれ・・・・”french seam leather”でした。
海外ではなんかフレンチシームとか呼ばれているのかな?でもこのまま日本語で検索してみるとまた微妙に違う手芸の技法が出てきてしまうので注意です。
こうしてやっと見つけた貴重な動画を載せておきます。
動画ではなんか合皮っぽくて薄い生地でしたがこちらは厚みのある本革でミシンなんかないのでもちろん手縫いです。そのまま真似することはできませんが十分参考になりました。
製作編
どうやら2回に分けて縫うみたいですね。
- つなぎ合わせる真ん中になる部分を縫う
- ダブルステッチになる部分を縫う
製作していきましょう。
大分端折りましたがポイントです。
ダブルステッチに合わせると外周は自然と『ヘリ返し縫い』になります。
本当は外周全部を漉いて薄くしたいのですが良く切れる革包丁が必要になり難易度高めですのでここは『菊寄せ』を行う角部分のみ革を漉きました。
代わりと言ってはなんですがステッチンググルーバーに溝堀りアタッチメントを付けて曲げる部分にしっかりと溝を掘ってあげましょう。
こうすると後でヘリ返すのが楽になります。
そして写真の様にダブルステッチで繋ぐ真ん中の部分(つまりへり返しの溝同士)をピッタリ重ねてテープで仮固定したら菱目打ち機で一緒に穴を開けてしまいます。こうすればピッタリと目が合って、ほしい形に繋げられます。我ながら良く思いついたぞ。
レザークラフトで基本的な縫い方であるボンドで固定してから縫うことができない割りに綺麗に繋ぐことができるはずです。もう一回言ってもいいかな・・・ナイスアイデア俺。
さあ、ここからはいつものレザークラフトです。
菊寄せを伴うへり返しの時はG17よりもサイビノールの方が向いている気がします。
何かと使える100均のミニクリップを使いながら圧着していくといいです。
ダブルステッチの部分も開いてしっかりくっ付けたら表面から菱目打ち→平縫いしましょう。
完成!
レザーはジョイフル2で800円で売っているA4サイズの牛革、糸は大好きなビニモの5番、ダブルステッチの間隔は車に合わせましたが目のピッチは車に合わせたのでは荒すぎたので菱目打ちは4mmを使いました。
散々探して見つからなかった裏側の写真がこれです。業者さんのは動画にあるように補強テープが入ったりするのかもしれませんが延ばしてダッシュボードに張るわけではないので今回は入れていません。
菊寄せの部分のアップ。ここがこれ以上粗いピッチでは縫えそうにもなかった・・・。
こんな感じで立体的に癖をつけてあげて・・・
シフトの前の小物入れ(ここの呼び方分かる人います?)の所に注目していてください。
かっこヨ!
私の車(124スパイダー)色はロッソなんですが、内装はほぼNDロードスターで地味といえなくもありませんでした。だがしかしこの赤!(いやそこはロッソ)こいつを敷いただけでイタリアンな気分が出るではありませんか。
ちなみにダブルステッチにしたいがためにわざわざシフトのベゼル部分までマットを延長したのでもっと簡単にしたい人はその手前でやめちゃえばいいです。
【追記】と書きましたが、実際使ってみると最近のスマホでかいのでベゼルの上まではみ出してきます。ベゼルの材質が傷つきやすそうなので機能的にも正解だったかもしれませんね。
おまけ
これは車界のダブルステッチのやり方が分からなかった時に”すくい縫い”で苦労して繋いだテスト品です。
300円の端革で作りました。黒に赤ステッチもいいですが、やっぱり内装の黒と微妙に色合いが違うこととステッチの感じが車に合わないことが気になって敢え無くゴミ箱行きとなってしまいました。