Klon Centaur 自作

自作エフェクターとしては約一年ぶりの新作になりました。これだけの期間が開いてしまったのは偏に前回作ったTS808(TS9)ツインペダルの満足度が高すぎたために他なりません。
これを超えて創作意欲を刺激してくるペダル・・・・それはもうこれしかないでしょう。


ちょっと大げさな導入になってしまいましたが、やっぱりギタリストなら一度は憧れるケンタウルスです。このペダル・・・オリジナルは15万円を超える値段で取引されていることもあって日本、海外を含め自作熱が上がりに上がってきた経緯があります。

ちなみに現行型はこれです。

ということで・・・

Klon centaur(ケンタウルス)最近の自作動向

まず、回路図ですが、例えば私がいつも参考にさせて頂いているHomemadeFxさん含め日本で得られる多くの情報では2008年5月25日の回路図
KlonCentaur-5-24-08b
※ここに上げていいかどうか賛否両論あるでしょうがグーグル画像検索で最初に出てくるものですので議論すらナンセンスでしょう。

しかし、2015年12月現在最新と言われているのは2009年4月15日の回路図
klon-centaur-schematic
これです。

さらに、上の物には訂正が加えられて・・・・
KlonCentaur-Corrected-2009 - fixed
こんな風にトーン回路の抵抗が入れ替わっています。

この他にケンタウルスシルバーエディションとして各値が変更されたものもあるようです。

ケンタウルスは承知の通り各年代で筐体のカラーが代わり、部品も微妙に異なってきているようですが、シルバーは暴馬、ゴールドで完成されている?とかいう話をどこかで聞いたことがあります。

今回は素直に2009年4月15日のトーン回路訂正後のものを作ることにしました。

製作編

レイアウト及びPCBはHomemadeFxさんより拝借しました。一箇所レイアウトとPCBが異なっていましたが連絡後即刻訂正され、今上がっているものできちんと音が出ます。
(本当にいつもお世話になります。)
※2015年12月現在、氏のレイアウトは2008年の回路図になっていますので私の様に2009年の回路図にしたければ当然定数の変更が必要になります。

PB203326
今回はPCBの自作方法をちょっと変更してみました。
剥離紙を使った方法です。

PB203330
出来上がった基盤にはもちろん”CENTAUR”と銘打ちますよね?

PB283400
拘りは1590Bに収めること。そもそもこの基盤は1590Nという前者よりちょっと厚みのあるケースを想定されて設計されていますが秘技電池抜きにより1590Bにも入るようになります。
※私は手持ちの3PDTを使いましたがフットスイッチは本来DPDTで良いので上手くすると電池も搭載できるかもしれません。電池派でないのでこれ以上拘りませんが。

PB283401
電解コンデンサはFWを使いましたが低背MWを使えばさらに簡単に収まると思います。(一応カタログではMWの方が寿命が短いとなっていると思います。)

ゲルマニウムダイオードは1N60を使いました。割れやすいので注意です。

チャージポンプはTC7662BCPAを使いました。
代替品とその耐圧を調べたのでメモ。

  • TC1044S (MICROCHIP 耐圧13V)
  • MAX1044CPA (MAXIM INTEGRATED 耐圧10.5V)※オリジナルはこれと言われているが耐圧が低くトラブルに見舞われる人がいます。
  • LTC1144CN8 (LINEAR TECHNOLOGY 耐圧18V)
  • TC7662BCPA (耐圧15V)
  • TC7662BCPAはMAX同様ブーストモード付きです。

    デザイン編

    趣向を変えていきなり工程から書き進めます。
    PB253384
    左のやつが重要。レーザープリンターで剥離紙に印刷したもの。

    PB263385
    基盤作る時と同じようにアイロン転写し・・・

    PB263389
    粗い部分をマニキュアや油性ペンでマスキングして・・・

    PB283398
    エッチングからの墨入れ(今回はアンバーのアクリルスプレーを吹いてから磨きを入れました。)
    デザインコンセプトのために巣穴が残るようにしましたが、もしこれを嫌えばマニキュアで黒い所をなるべく覆うようにしてしまうと良いと思います。

    PB283399

    PB283402
    部品を組み付けて完成。

    PB283405
    LEDは今回はじめて使用する高輝度オレンジです。4.7kΩの抵抗を付けましたがグリーンなどと比較するとちょっと暗いようですね。私はこれで調度良いですが折角の高輝度を生かしたかったらもう少し小さい抵抗でも良いかも。

    レビュー

    ※下に追記があります。

    _B293411
    結構部品が変わったり増えたりしている割にTSが元とされるだけのことはあり例えば左に写っているTSクローンの”ある音(トーン)”を出そうと思えば設定で出すことも出来ます。

    ただし、チャージポンプで昇圧されたダイナミックレンジの高い音で、言うなれば歪み難く音の分離の良いコンプレッションの少ない感じはピッキングのニュアンスの表現とか反応の速さという抽象的な感覚に変わって感じられると思います。
    ※コンプレッションがないわけではないです。そういう方向では以前作った禅駆動のダンブルモードは印象的でした。

    _B293412

    ゲイン0、トレブル12時、アウトプット10時がニュートラルとのことで私が作ったものもきちんとそんな感じになっています。そこからトレブルを上げていくとトレブルブースターとして使えます。
    耳の痛い高音でなく艶っぽくシャリーンとした綺麗な音色を奏でます。これが使い方1ですね。
    ※同じシャリーンという表現でも倍音が増えていく感じとしてはjan rayの方が分かりやすいです。

    そして次にオーバードライブとしてですが、ゲインの変化は広い範囲で割と穏やかで、あまり強い歪を求めていない人には自分のスウィートポイントを探す楽しみを与えてくれます。
    ゲイン3時以降からフルの間に歪がグワッと強くなると同時にノイズが増えるポイントがありますがそれ以前は結構ハイファイです。(ノイズが少ない。)

    どこで見たのか覚えてませんがゴールドとシルバーを比べた時にシルバーの方が私のと同じように(かどうかも分かりませんが)3時以降の歪が急でゴールドは12時以降スムーズに歪むとか・・・これに関してはユーチューブを漁った程度では確認できませんでした。

    チューブスクリーマーの方がコンプレッションの強い分耳に痛くなく(もしかしたら心地良い)、そのせいからもケンタとの合わせがけの相性がとても良いです。ケンタウルスとTS両方をボードに入れている人がいるのも理解できますね。

    バッファのお陰で繋いだだけで音が良くなる・・・・これは本当。

    追記

    実は導入部分で書いたトレブルの抵抗の組み合わせを入れ替えるということをし忘れていました。
    (勘違いして以前のままになっていました。)

    よって上の評価は2009年4月15日付け回路図のトーン回路訂正のものになりますのでご注意下さい。

    その後問題の抵抗を入れ替えて試奏してみました。

    結果・・・少し高音が減りました。
    例えば以前は『ゲイン0、トレブル12時、アウトプット10時がニュートラル』とのことで私のも素直に「そうだ」と評価できましたが入れ替え後にニュートラルポジションを探るとトレブルは2時位になってしまいました。

    総じてキラキラ感が減った感じを受けます。前の方が好みです。

    参考サイトのコメント欄にも修正後のまま作ると「ちょっと暗い」という人が多く、最近のコメントには「I just built this and can confirm that the 4.7k (R23) and 1.8k (R21) resistors indeed are swapped in this layout. That is why it sounds so muddy. Once swapped back it sounds identical to my Aion Refractor Klone.」というものまで。
    持っている人の意見を尊重して私も戻すことにしました。

    何が合っているかという話になると難しくなりますが、皆さんも音楽家なら気に入った音の方を選ぶでしょ?

    ということで現在私のcentaurクローンは2009年4月15日のトーン回路訂正の回路に落ち着いています。

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク

コメント

  1. 啄木鳥 龍 より:

    うわ!ケースか素晴らしくカッコいい!
    販売はしないのですか??

    • craftsman より:

      コメントありがとうございます。
      そうなんです~。販売は考えてないんです。
      もしご自分で製作される時には記事が参考になると嬉しいです。