TS808(TS9)2in1ペダル

HOT ROD DELUXEの改造という割と大物をこなしてしまったのでしばらく小ネタが続くのではないかとの大方の予想を裏切り・・・・こいつを公開します。
一応クリスマス企画のつもりです。(もちろん自分へのプレゼントだけど中には喜んでくれる人もいるかな?)

TS808(TS9)2in1ペダル

※まず最初にお断りしておきますが私は狂信的なSRVファンではありません。彼と全く同じ音を出したいとかそういうペダルを最終目的にしている訳ではないので悪しからず。

SRVはTS808とTS9を2台同時に接続して使っていたらしいです。
スティービー・レイ・ボーンTSセッティング
参照元Texas Blood
上記ソースによりますと『TS-808はアンプの裏で常時ONしブースターとして使用、 初段のTS-9をオーバードライブとして使用』とあります。

また、本人の使っていたTS9はTS808仕様に改造されていたのかどうかということも度々論じられて来たようですね。上の方はレイボーン本人が「TS-808よりTS-9のほうが好き」と言っていたことからTS9はそのまま使用されていたのではないかと推察されています。

仕様

以上を踏まえて私の決めた仕様は・・・

  • 1台は常時オン?・・・どうせなら2台を1台に収めた2イン1ペダルが良い。出来るだけ小さく。
  • TS808とTS9はスイッチ式にしてそれぞれ独立して切り替えられる様にする。
  • 素性の良い部品を選定する。現行より抜けの良い音が得られるかどうか。
  • ランドグラフのような3モード切り替えSWは付けない。”何でも出来るは何にも出来ない”なんてコンサルタント系に言う人いますけど(私は不器用より器用な方がいいと思うのですが)・・・今回はこいつの音はこれ!という漢らしいペダルにしたい。

製作編

基本的な回路図はhomemadefxさんのものをありがたく使わせていただきました。
これを2イン1にして私用にまとめ直したプロジェクトシートを上げておきます。
TS808,ts9,2in1
元のレイアウトにはありませんが入力直後に1MΩの抵抗を追加しました。これは本物は電子スイッチ式なので要りませんがトゥルーバイパスですので接点ノイズ対策としては必要でしょう。
それから注意点としてhomemadefxさんではもしかしてインプット・アウトプットの配置が逆なのかな?・・・完成後に右入れ左出しにしたい人は反対になりますので気をつけてくださいね。それを元にしている私のレイアウトも同じ絵になっていますが、実機は標準的な並びにしてます。またこれは塗装済みケース等にも対応するための配線になっていますが、導通ケースを使う場合にはアウトプットのグランドは繋がないで完結したほうが良いそうです。(グランドループを形成云々・・・)

レイアウトに示されている通りTS808の100Ω,10kΩをそれぞれ470Ω,100kΩに交換したものがTS9です。
これはDPDTSWで切り替えが可能になります。拾い物ですが配線方法の一例を載せておきました。

チューブスクリーマー2in1ペダル
なかなかのカオスっぷりに思えるかもしれませんが、一応ケースに部品を組み込んでからの配線ですので割と余裕で蓋が閉まります。とは言っても今回使った1590BBケースがジャストでありほぼほぼ最小なのではないでしょうか。

絶縁方法
フタをするときの絶縁方法はいつもの様にボツになった趣味の写真をラミネート加工してあるものを使いました。ビニールテープの様に糊が後でべたつくことがなく薄くて丈夫なので助かってます。

自作pcb基板
基板はPCBです。私のPCB自作方法
大きく一個にまとめなかったのは後で2つに分けるからとかではなくて、配線が楽そうだったからです。

  • 入力直後の1MΩ、LEDの抵抗を除く全ての抵抗はヌケの良さを狙ってカーボンコンポジット抵抗に。
  • フィルムコンデンサーはWIMA MKS2(メタライズドポリエステルフィルム)。ヴィンテージオリジナルはポリプロピレンフィルムコンデンサー?
  • バイポーラキャパシタはNichicon ES MUSE。イメージカラーに合った緑がお気に入り。
  • 電解コンはNichicon FW。
  • クリッピングダイオードはMA150。
  • トランジスタは2SC1815BL。
  • オペアンプはこれもヌケの良さを狙ってRC4558Pに。

特筆すべきはこんなところだと思います。

デザイン編

TEXAS SCREAMER
基本的なカラーコンセプトはオリジナルに沿ってますけど、ノブ周りにメモリが。(そこじゃないっすね。)
そう、思い切って彼の方のシルエットをあしらってしまいました。

名前・・・・結構ダジャレ系含め色々出尽くされている感があるこの機種ですが、これは意外にもありませんでした。
検索するとテキサスのローカル絶叫マシンしか出てきませんからね。(少なくとも上の方にはだけど。)

実際に『TEXAS SCREAMER』と銘打ってみると、そこはかとない田舎臭さが漂ってきてしまいましたが・・・・
でも、こういうの好物です。
(一応”TS”だしね。)

イラレでデザイン→自作ステッカーシート(エーワン はがきサイズのプリンタラベル ノーカット 水に強い光沢フィルム 4シート 29334)に印刷しました。

TS808(TS9)2in1ペダル
インジケーターは高輝度グリーンに。まぶしすぎるかも。クラっときます。

ケースは予め鏡面加工しました。私のアルミ鏡面仕上げ方法

レビュー

さて、レビューです。
テキサススクリーマー

これはね・・・なんと私過去にチューブスクリーマーを所有したことがないんです。
だから、ここに書けるのはYOUTUBEで見たものであったり、SRVの音源と比較したものになってしまいますが・・・・

絶対に抜けてきてます!(少なくとも現行型でよく言われる鼻詰まりトーンでは決してない。)
抜けると言われている部品を色々使ったのでそうじゃなくては困るのですが、そうは言っても嬉しいものですね。

そして、もう一つ書かなくてはいけないことがあります。いや正直に”白状しなければ”と書くべきか。

TS808,TS9切り替えスイッチをガチャガチャ変えてみたのですが・・・・・
全然違いが分かりません!

回路的な不具合のチェックをしてしまったくらいに分かりません。(もちろん機能してました。)

理由として考えられることは・・・

  • 抜け良く作ったためかそこの差は分かり難い?(これはちょっと深いですが文字の通り)
  • ハイパスフィルタの計算をしてみると何か殆ど変わっていないような・・・実はオリジナル同士の他の部品の差が効いていた?
  • オリジナルのTS808は繋ぐだけで音が変わったとか・・・SRVはTS808を常時接続していても常時オンにはしていなかったという説もあり、この辺が本当の両者の違いなのか?これはトゥルーバイパス仕様なのでどうしようもないです。
    (引用)Ibanez TS808の出力部は抵抗10kΩ、Cが10uという構成で、この低音側のカットオフ周波数は1.6Hzとなります。これはSD-1と同値ですが、出力抵抗10kは次につなぐものの入力インピーダンスと並列となりますので、例えば後に接続されるアンプなりエフェクターなりの受け抵抗(=入力インピーダンス)1MΩなら、10k//1Mの並列値=約9.9kΩとなります。
    対しSD-1やTS9の出力抵抗100kでは、100k//1M=90.9kΩとなります。
    これは、TS808はバイパス状態でもハイが落ちることを意味します。
    TS808がTS9と微妙に違うと言われる最大の理由がこれです。(出典)ぴゅあ☆ぴゅあ1949

ということで、特別な耳をお持ちの方以外には切り替えスイッチは無用の長物になってしまうかもしれないです。

もちろん満足度は十分すぎるほど高めてくれます。
「今夜は前が9で後ろが808のSRVスペシャルで行くぜ~うぇい!」みたいな。

まとめ

”オーソドックスでありながら仕上がってしまっているペダル”という印象でした。

数多くの派生ペダルがありますが例えば上の写真で隣に写っている禅駆動と比較すると、基本的な音色は近いとは思いますが(禅駆動で私の常用している)ダンブルモードはコンプレッションがかかりませんのでダイナミックスが素晴らしいのですが時としてそれが煩く感じたり演奏のミスが気になることがあります。

そんな時はチューブスクリーマーに切り替えてあげるとこちらはコンプレッションがかかるので耳当たりが心地良く感じられ演奏も若干上手くなったように感じられるかもしれません。

2IN1の魅力・・・片方をSHOなどにしたブースター限定仕様はヤフオク含めよく見ますが、ことチューブスクリーマーに関しては上述の通りブースターとしての用途も確立されています。双方TSとしてしまうことでペダルの使い方は別途研究が必要な程幅広いものになりました。

例えばSRVはドライブツマミはかなり低めに押さえてレベルツマミで音質を変えていたみたいです。単体での使用とは別物と考えたほうが良さそうですね。

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コメント

  1. 橋本元太 より:

    拝見させていただきました!このレイアウトを元に作りたいと思っているのですが、dpdtスイッチのレイアウト部分のことがいまいち分かりません。お手数ですが配線の仕方など教えていただけないでしょうか?すいません。

    • craftsman より:

      こんにちは。本文中にもありますが結果から言って拘って付けた割に違いの分かり難いスイッチ・・・ということでこれはスルーでも良いかもしれませんが

      (DPDTスイッチの部分の補足)四角の中にR1,R2とあるのが基板を表しています。今度はレイアウトを見てもらって矢印で指している抵抗をR1,R2と読み替えて見てください。
      例えば『R1 from TS808』を100Ωとすると『R1 from TS9』は470Ωとなります。

  2. 橋本 より:

    http://www.tonepad.com/getFile.asp?id=81
    このサイトの基盤を使ってもcraftsmanさんのレイアウトで作成可能ですか?
    ユニバーサル基盤で見事に失敗しました。
    無知ですいません。

    • craftsman より:

      ごめんなさい。もちろん他の人の作った基板でレイアウトが・・・というのは保証できないし確認もできません。
      うちのサイトでも紹介していますがユニバーサル基板でなくてプリント基板作っちゃったらどうでしょう?そんなに敷居は高くないですよ。

  3. 青木 より:

    拝見させていただきました。
    初めて、エフェクターを自作しているのですが、ツインペダルのレイアウト図について教えて下さい。

    BOSS等のエフェクターの様な、右in左outにしようとしたら掲載されているレイアウト図と反対にする必要があると記載されていますが、どこを反対にさせていただけば良いでしょうか?

    最終の組み込みの際は、レイアウト図の様に配線を済ませ、フットスイッチが下側になるように、上下反対?になる様に組み込もうと考えていますが、それで大丈夫なのか教えて頂けませんでしょうか。

    • craftsman より:

      これは単純に物理的にインプットとアウトプットを好きなところに配置できるように配線を延ばせば良いということです。中身は変えちゃダメですね。フットスイッチとかも同じです。