某中国系サイトでまあまあのベストセラー商品となっているDi2のAボタン(STIレバーのフード部分にある隠しスイッチ)を押しやすくするスペーサーがあります。
このボタンの純正状態での反応がいまいち良くないということでこれを力技で解決するものなんですが力技ゆえに高級なStiレバーのスイッチを壊してしまうのではないかと少々心配になったことから今回の企画は始まりました。
SHIMANO Di2 ボタンワッシャーを真面目に開発し直してみよう
ポガチャルもここで変速する様子が捉えられているAボタンですが、そもそも標準ではD-FLYというサイコンのページ送りやライトの操作を割り当てることを想定していたりしません?
変速という最も動作回数の多い操作に充ててしまって本当に大丈夫なんでしょうか?
シマノに電話して聞いてみたところ
「そういう使い方をして故障が頻発するような例は出ていません。」
「ちなみに私もそこで変速しています。」
という、私の取り越し苦労を笑い飛ばすようなお返事をいただけました。
ただし、スイッチ単体での補修部品設定はないため、万が一壊れた場合は「レバー丸ごと交換」という恐ろしい仕様であることも再確認しました。
メーカー公認の使い道とはいえ、やはり「スイッチへの攻撃性」は最小限に抑えたいですよね?
Craftsmanの作るDi2ボタンワッシャーの仕様
SNSなんかでは散々擦られてきたネタをなぜ今頃わざわざ企画ページまで制作して発表しているのか・・・・。
6ヶ月のテスト期間を設けてあったこともありますが以下の仕様に集約されています。
- より反応しやすい形状
既存のものはただ高さを増しただけに対して指の動きから確実に反応する最適な形状を追求 - スイッチを必要以上に押し込まない安全設計
「深く押し込めば反応が良くなる」という誤解は捨てましょう(地味な推しポイント) - モジュールの摩耗(攻撃性)を低くする
既存のものは穴にモジュールの極小さいゴム突起がぴったり嵌る寸法のため摩耗やヘタリ、千切れ等の懸念あり?(寸法・形状の見直し) - R8170/R9270に対応
開発環境はR8170
Craftsmanの作るDi2ボタンワッシャー/設計製作編

ボタンを押す時の親指の動きを検証中・・・

こうやって見ると意外とボタンのある実際の位置より手前側にまず親指の第一関節が乗ってそのまま指先側にローリングしながらボタンを押しているのが分かります。
これを踏まえて親指のローリング動作を確実にボタンに伝える形状を設計しました。
これについてはアニメーションを見てもらった方が早いでしょう・・・

Di2ボタンワッシャーの底面テーパー形状とスイッチゴム突起部分の逃げ寸法が、親指の動きを確実に押し込む力へと変換します・・・・合わせて突起部分の摩耗も減らし物理的にスイッチを押し込みすぎることがない形状が完成しました。

机上では完成した理想的なDi2ボタンワッシャーですが家庭用FDM方式3Dプリンターでこの様な繊細な形状が再現できて、さらに思ったような動作をするかテストしてみましょう。
写真はテーパー形状や高さに違いのあるテストピースたち・・・・中には某アリエクワッシャーの寸法を再現したものもあります。
※印刷する時はテーパー面を上にしてください。使用時はテーパー面を下にしてスイッチに乗せてくださいね。

結果・・・・予想を裏切る形で(とか自分で言わないほうがいいよ)違いがはっきりと出ました。
全然反応が良いのですよ。例えば底面がフラットな既存形状では反応しなかった範囲でスイッチが押されるのがはっきりと確認できます。手前はもちろん左右でも。
クリック感をともなってね。
テストピースの中で最も良かったものを愛車に組み込み6ヶ月のテスト期間を終えた今”Craftsman’s Di2ボタンワッシャー”として世に出します。
Craftsman’s Di2ボタンワッシャー/組み込み方

フードを捲ります。・・・・スイッチモジュールの突起を見てください。なんか頼りないよね?(もういいって)

くどいようですがテーパーが付いている方を下にして突起に合わせて乗せます。

ここでワンポイント・・・アリエクのものは両面テープでボタンに貼るか穴にキツめに入っているのでそのままフードを被せてしまうようですが、私のものはワッシャーの後端をレバー側にテープで貼り付けることを推奨しています。
これは(ワッシャーの向きが設計思想上重要なため)フードを被せるまでの一時的な補助としての意味合いです。フードを被せてしまえばテープは粘着力が弱かったとしてもワッシャー自体はずれないようです。※長期テスト済み

私の場合はアセテートテープを小さく切ったものを貼っています。このまま途中一度もフードを外さずノートラブルで使用して6ヶ月たった時点で見てみたところ、問題なく設計意図通りの位置に置かれていました。

フードを戻してしまえば何があったのか分からない?
ですが私の心には密かな自信と余裕が生まれています。
いつの日か峠でポガチャルに会った時「君のスイッチ、押しやすいね」と声を掛けてもらう準備ができたのかもしれません。
おまけのコーナー
私Craftsmanが今回の企画『(長期テスト企画)SHIMANO Di2 ボタンワッシャーを真面目に開発し直してみよう』で製作した”Craftsman’s Di2ボタンワッシャー”のstlデータを公開しちゃいます。
※私はABSフィラメントを使いCuraで100.7%に拡大して印刷しています。外殻を10層位にすることで十分な強度が出ます。
※この記事を読んで使い方が分かる方が対象です。(ノーサポートですが誰でも分かる記事を心がけましたので是非チャレンジしてください)
※商用利用は不可、ダウンロードは一世代のみで再配布は固く禁じます。
(チームで使う場合、代表者がSNS等の媒体でこちらの製品であることをご紹介いただければメンバー間で使うことは可)
※再配布や商用利用を見つけた際には法的手続きを取ることがあります。
さらに、3Dプリンターなんか持ってないよって人のためにはDMM.makeでパーツを注文できるようにしました。
私の家庭用プリンターよりはるかに性能の良い工業用の3Dプリンターで製作されたものがお手元に届きます。
こちらに関しても私が製作したものとは物性が異なりますので、材質を何で出力するかは最終的にはご自身で選んでいただきます。(ノーサポートです)
一応、全く駄目そうなものとコスパ悪そうなものは外してありますが、レジン系は脆い印象があるので注意してください。(多分今回は大丈夫)
SHIMANO Di2 ボタンワッシャー進化版/Craftsman’s Di2ボタンワッシャー
※一点ご注文いただくと2セット分が届きます