TUBE DRIVER(真空管オーバードライブ)を自作する

TUBE DRIVER・・・エリック・ジョンソンが好きな人なら、あるいはデヴィッド・ギルモアが好きな人なら多分知っている真空管オーバードライブです。



5:24~TUBE DRIVERですが、エリック・ジョンソンはトーンを目一杯下げた特殊な使い方をしているようです。アウトレベルは10時、この動画ではドライブノブが何故か外れていて分かりませんが他で確認すると11時位。ついでにピックアップはまさかのリア、ギターのトーンノブは8程度(トーンコンデサは多分0.1μF)、ボリュームmaxでバイオリントーンを出していると見ました。

私の場合は最近『cliffs of dover』を練習し出して初めて気になったエフェクターですが、実は自作会では数年前に一度大きなブームがあったようです・・・ということで参考文献はネットに溢れているのですがちょっとしたサスペンスがあります。

TUBE DRIVER自作・・・今までの流れ

松美庵さんという有名な自作愛好家の方がいらっしゃいますがこちらを中心に多くの方がTUBE DEIVERを自作して来た経緯があります。さて、TUBE DRIVERには3ノブ版と4ノブ(+バイアス)版がありますが4ノブ版を気持よく成功した!という人が見当たらないのです。少なくとも日本では・・・。(2016年3月現在craftsman調べ)

その理由がgeneralguitargadgetsで公開している4ノブ版の回路図・・・本文にも注記がある通りノイズの問題があるということです。承知で作った人はやっぱりノイズに頭を抱えてしまっているようです。また、この回路図自体にも間違いが複数箇所あるそうですので参考にされる方は松美庵さんの製作レポートを参考にされるとその辺も検証されていて良いかと思います。

TUBE DRIVER自作・・・仕様

種々の問題のある4ノブ版に対して、3ノブ版の完成度がとても高く高評価を得ています。真空管を使ったエフェクターにしてはかなり低ノイズだとも言われているみたいですね。

ということで大元の回路図は3ノブ版のこれに決定。tube driver

自作TUBE DRIVER仕様

  1. 3ノブ仕様
  2. 電源は9Vアダプター(増えるのが面倒くさいから。)

  3. オペアンプを極力歪み難くする→9Vを18Vに昇圧することでヘッドルームを確保
  4. 真空管のカソードにも18Vを入れる
  5. 12AX7のヒーター電圧は12.6Vまたは6.3Vであるが今回は9Vをレギュレータを通して6Vに下げて使用する

製作編

基板のレイアウト的なものを公開しますが、殆どLoudSpeaker =戯言=こちらで紹介されているままのものです。そこに18V昇圧回路を足したりというのが私のやった仕事。ですから数字の分かり難い部分なんかはそちらを参考にして下さい。また、これは基板のレイアウトであって他にレギュレーター(7806)の部分からなりますがそちらは検索してもらってお好きな回路を選んで下さい。12AX7のヒーター電源に6.3Vを入れる場合には配線方法が変わりますのでこれも合わせてググって下さい。

tube-driver

PCB自作
いつものようにPCBを作ります。大分小慣れてきたらしく失敗する感じは殆どしません。

PCB自作
グランドループが出来ないように気をつけてるのですが意外と出来てたりしちゃうので注意です。多分このPCBは大丈夫だと思います。

皆さん真空管をどう取り付けるのかで結構悩んでいらっしゃったようですね。回転式の特別なブラケットを製作された方もいらっしゃって面白いのですが、私の場合はこんな感じかな・・・・
真空管ホルダ
真空管ソケットはカバー付きのものにしてそれを固定するのは右側のオリジナルブラケット。スプリング式で挟み込んで固定するようにしました。

真空管ホルダー
ステンレス鋼板をピッタリの形に丸めたもの。
裏側に3Mの超強力両面テープを貼って・・・・

真空管ホルダー
真空管本体は付けたり外したり自由自在です。私くらいのズボラな人間はこれくらいじゃないと満足できませんからね。

真空管ホルダー
パチン!って感じで挟み込んで固定します。これのメリットとしては付け外しが簡単なこと以外に、多分回転式より設計スペースが小さくできることと、ケースにビスの穴を開けなくて済むこと、放熱効果と配線が触れた時のガードの意味合いも無理くり付け足すことが出来るかもしれません。

ケースサイズは1590BB。因みに私の場合、PCB用のレイアウトから部品配置、ケースのデザインまで一個のイラストレーターファイルの中でやってしまいます。レイヤーを分けて必要なものだけ見えるようにしながら検討したり印刷したりしてます。

絶縁用シート
今回作った絶縁用シート。適当にデザインした紙をラミネートして切って使います。

デザイン編

コピー物を作っているのだからオリジナルのデザインをパロってみるべきだと思ってます。

Tube driver 自作
調度良い塩梅のパロディー具合がいつも難しいですが、今回のは調度良いと思います。

Tube driver 自作
鏡面仕上げの後にステッカーを貼りました。


今の所これが調子良いですね。

tube driver 自作
インプットとアウトプット、DC入力は上側にもって来ました。

放熱穴
真空管の放熱用の穴は側面のみ。上の方が穴の数が多いですね・・・これは煙突効果を狙って・・・(嘘です。格好良いからです。)

tube driver 自作
高輝度レッドのLEDは真空管に火が入ったイメージ・・・

tube driver 自作
その真下に真空管が!?と想像力を掻き立てられるかもしれませんがこれを見てる人にはバレバレですね。
これはあくまで本家の『TUBE DRIVER』の文字の部分を絵に代えたり・・・あとノブの黄色がどうしても我慢できなかったのでそこはメモリの色に差してみたりと私なりのパロディズムがでています。

レビュー

tube driver 自作
実は最初レギュレーターは7812を使っていたんです。昇圧した18Vを12Vにして使おうという考えだったのですが、真空管のヒーターの所で9V程度に下がってしまうのです。また、18Vのラインも12V程度に下がってしまっていました。これは恐らく、DC-DCコンバーターを使った昇圧電源では真空管のヒーターの電源を賄えないってことだと思います。

因みにこの時の音と言ったらもうバリバリという汚い歪みで聞いていたく無いような音でした。

その後仕様変更して現在の形に至ったレビューを書きたいと思います。
やはり真空管のヒーター電源は仕様通りの数字を入れてあげた方が良いですね。ノイズもほぼ皆無・・・試奏時交替で鳴らしたケンタウルス、JanRayよりも静かな位です。音も元気で真空管の粘りもしっかり感じられます。

18Vに昇圧したオペアンプは歪み難く、より真空管の歪みとニュアンスを感じやすくなっています。ドライブノブ9時まではキラキラ系ですが、更に上げていけばオペアンプが歪み出します。ダイオードクリップを使わないオペアンプのみの歪みはプリっとしていて以前作った禅駆動のダンブルモードを思わせます。(歪み方の話であって出音は当然違いますが。)

  • レイアウトで30pF(27pF)となっているコンデンサは33pFの積層セラミックコンデンサ
  • レイアウトで120pFとなっているコンデサは270pFシルバーマイカ
  • トーンのところの0.047μFは0.1μFフィルム

としました。上記3箇所は出音に変化を与えやすい場所ですのでソケット化しておくのが良いですね。
0.1μFは最初0.47μFまで上げていたのですが高音がぼやける印象だったのでちょっと下げました。0.47μFで太い低音を得た状態でトーンツマミを上げてみたのではフィンガーノイズがキリキリと煩くダメでした。悩ましいですね・・・・。

※追記・・・下にも書いてありますが0.1μFではJanRayと傾向が似すぎてしまったために、0.47μFに戻しました。これにより私のボードでは他にはない図太い低音が特長のペダルになっています。また歪の感じもより心地良く感じられます。

倍音を増やす感じと歪の質がJanRayと似ていますが、JanRayはヘッドルームが低いことから気持ち良いコンプレッションを得ているのに対し、私のTUBE DRIVERはコンプレッションがほぼありません。ピッキングのニュアンスとかはもろに出てくるので好みは出やすいかもしれません。

また、そんなわけでエリック・ジョンソンの音とはちょっと違ってきてしまったということも注意点としておきます。
(序盤で紹介しましたが彼のセッティングはとても特殊なのでやってみれば殆ど同じような音も出せますが、それだけじゃもったいないかな。)

【参考にした所】
松美庵
LoudSpeaker =戯言=
ガックラ.com・・・特にこちらには元ネタとも言える真空管のヒーター電源とオペアンプ、カソード電源を分けるというアイデアを頂きました。貴重な情報を公開頂きありがとうございました。

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